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加藤 千明; 佐藤 智徳; 山岸 功; 有阪 真; 寺田 敦彦
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故の汚染水処理に用いた使用済み吸着塔の局部腐食発生条件に関する基礎的検討として、ガンマ線照射下における人工海水を含んだゼオライト中のステンレス鋼(SUS316L)の電気化学試験ならびに第二Cs吸着塔(SARRY)モックアップを用いた乾燥試験を実施し、塔内のCl濃度の変化について報告すると共に、使用済みCs吸着塔における局部腐食発生の可能性を検討した。ステンレス鋼の定常自然浸漬電位はガンマ線照射により貴化し、吸収線量率の増加に従いその電位が上昇した。一方、ゼオライト共存系ではガンマ線照射下の電位上昇が抑制された。ガンマ線照射下におけるステンレス鋼の電位上昇機構は放射線により生じるHOがステンレス鋼のカソード反応を活性化するためであり、ゼオライトはHOの生成を抑制するために電位が低下する事を明らかにした。また、モックアップ試験体の乾燥試験からゼオライト層の温度上昇に伴い乾燥ゼオライト層による残水の吸い上げにより残水中の塩分が発熱部で析出し、蒸発水が容器内面で凝縮することで再び残水へ再循環するため残水のCl濃度が低下することを確認した。モックアップ試験体で確認された吸着塔内の発熱による残水のCl濃度低下挙動は、実機Cs吸着塔における局部腐食発生リスクの緩和策として期待された。